山内マリコ『ここは退屈迎えに来て』
「俺がこの数年でどんだけEXILEのバラードをカラオケで聴かされたか お前わかるか?」
- 地方で暮らす10〜30代くらいの人を登場人物にした短編小説集
- 脇役の「椎名」が全編に登場してる
- 短編集だがシリーズ物のようになり
- 同じ地域(と大阪、東京)が舞台になってる
- どれも面白く読んだが、最初のやつが一番面白い
- 須賀さんが最初に登場するくだりで吐くセリフが際立ってる
- 読後はこのセリフしか覚えてない
東京から地元に戻ってもう十年近い須賀さんは、刻々と廃れゆく町の景色に絶望仕切っている。彼は青山のギャラリーで仲間とグループ展をやったり、友だちとインディーズでCDを出した。古き良き九〇年代をしみじみと語る。そして私に、地方都市に戻ってきた文化系くずれの、肩身の狭さを切々と訴えた。
「俺がこの数年でどんだけEXILEのバラードをカラオケで聴かされたか お前わかるか?」(p.10)
- 90年代くらいに宮台真司が黒夢(の全盛期?)について「黒夢は東京では聴いてる人いない」と吸ってる空気が違う話をしてた
- たしか『宮台真司interviews』か
- 国道沿いには量販店・チェーン店、市内はシャッター通りという地方都市が今辿ってるプロセスについては、松原隆一郎『失われた景観』とかで、なるほどね、してた
その手の都心/地方のコントラストについてはその後コツコツと多少知識を得ていた
- けど、そこで暮らす人からみえる生活というのが、色眼鏡なしで書かれてるのを読みたいと思ってたので
- この本はちょうどよかった
- 最初はエッセイだと思って手にとったし
小説という形式をとってるけど、エッセイという形式で書いてくれた方がいい気がする