以下斜め読んだ内容

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原武史、橋本健二、北田暁大「東京の政治学/社会学―格差・都市・団地コミューン」読んだ

永井均が寄稿してるので手に取った本に載ってた鼎談。
タイトルは社会学系らしくついていけないセンスだが、東京内部の格差とか、公明・共産が強い区があるとか、私鉄によって沿線開発のパターンがあるとか、知らないことがあって面白い。

  • 永井均「馬鹿げたことは理にかなっている」pp.148-163
  • 原武史、橋本健二、北田暁大「東京の政治学/社会学―格差・都市・団地コミューン」pp.164-202
以下ピックアップ
  • 鼎談のきっかけ
    • 北田・東『東京から考える』でテキトーに喋った内容を深めたかったの専門家呼んでみた
  • 80年代の都市論ブーム
    • 東京について色々知りたいという欲求が地方出身者の中から出てきたから(橋本)
  • 都内の台地と低地
    • 江戸時代では、台地=武士、低地=町人と、身分の違いと対応(『東京の空間人類学』よめ)
    • 明治以降以降、下町と山の手の格差ができていく
  • 70年代後半の足立区は貧困者多かった。2万8000円の1DKに下宿してたけど、同じ間取りで4人家族住んでた
  • 自分の田舎(=能登半島先端)も相当貧しいと思ってたけど、それの上をいってた。田舎だと貧しくても一戸建てだったから(橋本)
  • 都内の貧しい地域は共産党と公明党の支持者多い。
    • 足立区は今でもその傾向あり
    • 選挙だと、誹謗中傷合戦がすさまじい
    • 田舎だとみんな自民党
  • 足立区は都営や公団多い
  • 墨田区に引っ越してきた不和哲三
    • ひばりが丘(=東久留米市)ではなかったもの凄い妨害をうけた、と本人が言ってた(原)
  • 日暮里・舎人ライナーが出来る前の足立区は交通僻地、陸の孤島
  • 足立区は東京で唯一公明党が自民党より強い場所
    • 自民24.7、公明22.4、民主36.6、共産10.2(2009年の衆議院選)
    • 都内公明党支持率2位の北区で14.9なので突出
  • 東部伊勢崎沿線は、東京圏で一番ブルーカラー労働者の比率が多い
    • 倉沢進(都市社会学)の研究結果
    • 隣接する三鷹・武蔵野の方が家賃も高い
  • 東武線の路線開発
    • 自ら住宅開発をやらなかった(京王、東急と対照的)
    • 今東武線は孤独死と貧困の代名詞になってるが、昔は設備の整った団地がいち早く作られた。
      • 1962:草加松原団地、5926戸
      • 1966:武里団地、6119戸。最寄り駅せんげん台には急行が停車
    • 地下鉄乗り入れは一番早い、1962年に日比谷線乗り入れ
    • 複々線化も早かった。1974年北千住〜竹ノ塚間
    • 70年代までは私鉄の中でも一番栄えた路線だが、団地に依存しすぎた開発
    • 自前で住宅開発を地道に続けた東急に70年台後半以降に追い抜かれる
  • 東武、西部、新京成:団地依存、自前で住宅開発やってこなかった点で共通
  • 団地住まいが憧れだった時期があった。下町から郊外の団地に住みたい・・・
    • 80年代にそのイメージが変わる
  • 団地でも都内で格差が
    • 50年代終わりから見られる
    • 1957.7月『週刊朝日』の記事は取材と質問紙調査を踏まえた良い記事
    • 山の手の団地(武蔵緑町団地)と、下町の団地(葛飾の青戸団地)では、5000円の所得格差がみられた
  • 西=進んでる、東=遅れてるというイメージが出来てきたのは80年代に入ってから
  • 墨田川東側は、もともと工業地帯で、戦前は細民も多い
  • 東西格差、東西不均衡はいつ頃から?(北田)
    • 80年代に現在に近い形に、バブル経済でさらに拡大、バブル崩壊で格差縮小、このまま縮小していくように見えたが数字にははっきり格差が出てる(橋本)
  • 平均所得トップは港区、最下位は足立区
  • 所得格差は、1997〜2008で2.14倍から4.18倍に
  • 4倍の所得格差は、たとえるなら、日本と発展途上国くらいの差、メキシコ・トルコと日本の差が今同じくらい(=4倍)差がある
  • 足立区
    • 戦前は農村。空襲での死亡者はわずか百数十人
    • 戦災少ないために、戦後工場が沢山建てられた
    • 交通不便で土地が安い。
      • 都営住宅がたくさん建てられた
      • 低所得者の集住地域が政策的につくられた
    • 現在は外国人も増加傾向
  • 荒川区
    • 高齢者多い
    • 自民、公明の基盤
  • 北区・板橋区・板橋区
    • 山の手台地の端が含まれるところ、台地が広がる所はは一戸建てやマンション多い
      • 赤羽台、高島平西部〜練馬区
    • 低地部分は足立区と似ていて、工場・倉庫多い
      • 板橋区北部、高島平
    • 台地部分に寺田寅彦の別荘もあった
  • 東京の「東西格差」
    • 23区内で論ずる場合と、多摩・千葉・神奈川を含めた規模で論ずる場合とでは違ってくる
    • 60年代の大団地が出来た時代では、東西格差は無いか東の方が物価高い
      • 交通網では、三鷹よりも松戸の方が都心へのアクセスは良かった
      • 1964年の家賃相場だと、東西比較するとほぼ同じか東の方高い
  • 京成千
  • 京成と京急
    • 京成はもともと、成田山新勝寺参詣者のための鉄道
    • 川崎大師へアクセスする大師線から京急はスタート
  • 小田急と東急
    • 沿線に有名仏閣なし
    • 最初から都市間輸送に注力
    • 東急沿線はネオリベ
      • 多摩川線は京急に文化が近く、沿線に工場多い。
      • 田園都市線も渋谷〜溝の口間は小田急に良く似ている
      • 田園都市線の溝の口より先の区間(=東急が一から開発したエリア)がネオリベの土壌
    • 小田急は京王と同じでモザイク的(公明も自民も民主もそれなりに強い)
    • モザイク的な町・経堂
      • 小田急/京王地帯のモザイクさを示す好例
      • 住環境の格差、貧富の格差が大きい。近くに住む住民同士が溶け合わない
      • 駅近/遠、丘/谷、用水後、等々で格差が広がる町
      • 異質な住民同士が入り乱れる。でも対立してるわけでもない
  • 東急の沿線開発
    • 丘陵地の開発のため、平地開発中心の路線(西部、東武、新京成)よりも開発のスピードが遅かった
    • 開発スピードでは、京王&小田急の多摩ニュータウンの開発(70年代〜)よりも遅れる
    • 田園都市線の開発では、一戸建て中心で一貫してきた
    • 他の路線が開発の余地がなくなりつつあるのに対して、まだ開発の余地を残してる
  • 世田谷区
    • 内部に大きな格差あり
    • 祖師谷・大蔵〜成城
      • 地理的な距離はわずか数キロ。急な坂あり。20〜30分歩くと、東京の最もリッチな地域から底辺に近い人たちの地域まで一望できる場所。