永井均と川上未映子の対談を読む
2点あり。
- 1点は雑誌収録のもの
- もう1つは『ルサンチマンの哲学』文庫版の解説として収録
川上未映子・永井均「哲学とわたくし——ことばが奇跡を起こす瞬間とは」(対談)
『文学界』2008年3月号に「師弟対談」と銘打って載ってた(asin:B0012Z6ZGA)。
暫定的なものとしても回答が出ないんだけれども、例えば私小説的に扱う「わたし」ではない、永井先生のおっしゃるヤマ括弧つきの<私>から開かれる文学の領域もあるんじゃないか、ということが、編集者の方から何か小説を書いてみないか、と言われたときにあったんです。だから、ほとんど永井先生に、もっと言えば池田晶子さんにも、並走してもらったという感じがしますね。
p.104
ともかく永井均の言葉に触れる機会が触れてうれしい。
子供を作る話とかはかなり面白い。
永井『私、今、そして神 ―開闢の哲学』、川上『わたくし率イン歯ー、または世界』
前回(2007年)川上未映子が芥川賞にノミネートされたのが『わたくし率イン歯ー、または世界』(asin:4062142139)
タイトルを見比べただけでも影響を受けてることはわかるかと
永井均がmixiの日記で川上未映子に言及しているのを読んだのが、川上未映子の存在を知ったきっかけ。
そこから川上未映子が数点小説を書いていることを知り、ブログも開設していることを知る。
川上未映子の純粋悲性批判
彼女のブログを読むと永井均の本の話、永井均集中講義を受けに行った話、池田晶子の追悼文をどっかの雑誌に寄稿した短文、等々を読んでて知識を得ていたので、対談には驚かなかったが、『文学界』紙面全体で明らかに浮いている(、と思ったが、最近話題の大澤真幸が「<自由>の条件」を連載してたことに比べるとそうでもない気がしてきた。)。
川上未映子は哲学的なトレーニングを受けた人ではないが、池田晶子ほど俗っぽさが欠落してる風でもなく、永井均の対談の相手として結構面白かった。
川上未映子さんには今注目を浴びているこの時期に、永井さんとのロング対談を企画して1,2冊対談本を出して欲しい。
瑣末な指摘
この対談が再録されるときには消えてしまう誤記。
永井均と川上未映子の対談の紹介に対して、『文学界』の編集の人が付けた紹介文がミスリード。
川上未映子が日大に行ってたこと、永井均が日大教授と書かれている。この書き方だと川上未映子=永井均の教え子、だから師弟と納得する人がいるかもしれないが、これはミスリード。
両氏は大学制度上の師弟関係(指導教官、ゼミ生、etc..)にはない。
- 永井均が千葉大を退官し、日大教授になったのは確か2006年後半か2007年から
- 川上未映子が日大に通った(というか在籍してたのは)それよりずっと前からのこと
- 教職課程をとってたらしい。今も在籍してるのかな
- 例えば、2002年『タイムトラベルの哲学』を書いた青山拓央は、永井均と大学制度上の師弟関係にあったといえる。
更に、偶然に同じ頃に日大にいたから師弟関係というものではない
入不二基義・永井均「対談——哲学の誤読」(ただし、オフライン)
2008.2.16に入不二基義(@青学教授)と永井均が、朝日カルチャーセンターで対談したらしい(見逃した)。
- 朝日カルチャーセンターのページ(archive.orgのキャッシュ)
- 入不二基義のページ
対談のタイトルから主題は入不二基義の新著『哲学の誤読』(asin:448006401X)らしい。
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しかしその文章に付けられた、設問や赤本などに載っている解説はかなり笑える代物になっている。
『哲学の誤読』は、入試で使われた文章を数点(野矢茂樹、永井均、中島義道、大森荘蔵)ピックアップして、それに付けられた設問や参考書の解説や模範解答を分析するという変わったアプローチをしてる哲学書。
永井均の文章として収録されているのは「解釈学・系譜学・考古学」という短い論文。
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- 初出は1998年(『岩波新・哲学講義 (4)』,asin:4000261940)
- 2001年に再録(転校生とブラック・ジャック―独在性をめぐるセミナ、asin:4000265857)
永井均・池田晶子「なぜ善いことをするのか—&mdash<私>の論理と「魂」の論理」(対談)
2001年に出された『2001年哲学の旅』(asin:4104001058)
何だこの本は?という本の作りなんだけど
の3つの対談と、池田晶子の対話篇(ソクラテスシリーズ)も収録されてて面白い本。
一番好きなのは池田晶子・永井均の対談。池田晶子が永井のソクラテスに書いている箇所を指してプラトンを誤読してる!って言った以降のやりとりが面白い。
青山拓央・永井均「アキレスとグルーの時間論」(対談)
青山拓央『タイムトラベルの哲学』(asin:4062691639)に収録された対談
対談の抜粋が青山拓央のウェブサイト上で掲載されていたが、今は削除されてるがweb.archive.orgにキャッシュあり。
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